私たちが知らない、中国では禁止されているものとは?

中国は、国民の様々な自由を検閲・制限していることで知られています。共産主義である中国は、たくさんの知的な人物たちを輩出している国でもあり、自動車市場や「スマートシティ」作りというような分野を思いうかべる人も多いでしょう。しかしその一方で、中国はたわいないもの(くまのプーさん)から政治(六四天安門事件について話すこと)に関する活動やトピックを国民たちに禁止しています。ということで、今回は中国の様々な禁止事項を見ていきましょう。

哀れなプーさん

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中国の最高指導者である習近平は、見た目が似ているという理由から蜂蜜にめっぽう目がないくまのプーさんに頻繁に例えられています。どうやら本人はその例えが気に入らなかったようで、習近平政権は中国でクマのプーさんを禁止。プーさん及びプーさんもどきに関するGIF及びWeChat(中国版フェイスブック)上の言及はすべて政府の制限によって一掃されています。

ユーザーがプーさんが含まれるメッセージを送信しようとすると、送られてくるのはエラーメッセージ。中国国民は様々な検閲がある中コミュニケーションする方法を模索していますが、プーさんに例えられたくないという習近平の考えは変わらないようです。

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インスタ抜きでどうすれば?

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Photo by KIRILL KUDRYAVTSEV/AFP/Getty Images
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写真アプリのインスタグラムは世界中で驚異的な人気を誇っていますが、中国ではこちらのアプリも禁止されています。2009年のアラブの春中に他国で起こったように中国国民がソーシャルメディアを利用することを中国政府は恐れている、と考えている人もいるようです。

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当時、特にツイッターの様なソーシャルメディアを使った世界にまたがるコミュニケーションのお陰で、多数の国の市民がともに立ち上がり、いくつかの政府を転覆させるという事態になりました。インスタの禁止前には、中国でも複数の活動家が2014年の民主主義デモを組織するために一時的にインスタを利用していたそうです。

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グーグルはNG

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Photo by S3studio/Getty Image News/ Getty Images
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グーグルへのアクセスがないという状況は想像しがたいかもしれませんが、中国人にとってはこれが現実です。Gメール、グーグル検索、YouTubeですら中国では禁止で。グーグルが中国本土から検閲を受けていない香港に回線をひこうとした2010年以来、中国とグーグルの間では大きな対立が生まれています。

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一部の中国国民はグーグルが使用できるようにVPNを利用しています。2009年以降は、フェイスブックも中国では禁止されています。創業者のマーク・ザッカーバーグ自身は中国を訪れて習近平国家主席にも会っていますが、フェイスブック自体はいまだ禁止サイトから外されていません。

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「一人っ子政策」

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Photo by Wang Dongming/China News Service/VCG/ Getty Images
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中国の最も有名な禁止事項と言えば、複数の子供を持つことを禁止する一人っ子政策でしょう。中国政府は1970年代に中国人家庭には子供1人のみという同政策を定めます。この動きは人口をコントロールするためだと言われていますが、紛れもない人権侵害であるという見方もされています。

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2人目を妊娠した女性は、中絶するか高い罰金を払うしかありません。そのため多くの家庭が息子を望み娘を捨てるという事態が生まれ、一人っ子政策は最終的に社会不均衡を生み出しました。2016に新しい法律が制定された現在は、子供を2人持つことが許されています。

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『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』

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Photo by Ken Hively/Los Angeles Times/Getty Images
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アメリカのドラマ、『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』も、中国で禁止されている西洋のポップカルチャーの1つです。多くのアメリカの番組は中国で高評価を受けていますが、過去にはその多くが禁止に追い込まれてきました。例えば、『グッド・ワイフ』、『NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班』、『ザ・プラクティス ボストン弁護士ファイル』、『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』です。

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番組を視聴できないことにファンが激怒しているという事実に、政府はお構いなし。問題を提起された際には、政府は次のような声明を発表しています。これらの「コンテンツは、中国憲法を脅かし、国の主権及び領土保全を危険にさらして、非合法な宗教を促進し、民族憎悪を促進する」。あれま。

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チベットを支援するハリウッドスター

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1950年代後半から問題となっているチベット・中国間の対立。中国による長期の占領の末チベットがついに暴動を試みましたが、これが原因でダライ・ラマがインドに追放されてしまいます。言うまでもなく、今もなお続く対立関係。チベットは中国から解放されるべきだと主張していますが、中国側はチベットは中国の一部であると一歩も譲りません。こういった背景から、中国政府はチベットへの支援を示したセレブを一切禁止しています。

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仏教徒であるリチャード・ギアは、公然とチベットを支援しており、ハリソン・フォード同様中国から入国禁止を受けました。ブラッド・ピットは『セブン・イヤーズ・イン・チベット』への出演が理由で入国禁止。インドに亡命したダライ・ラマ14世を題材にした『クンドゥン』を1997年に制作したマーティン・スコセッシも禁止されています。

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ますます不思議だ!

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ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』は、発売以降かなりの物議を醸しだしています。アメリカでは、一部の人が「同作はドラックの使用を描いており、宗教や政治分野と言ったきわどいトピックへの隠喩を含んでいる」と主張。アメリカでは禁止には至っていませんが、中国では勝手が違うようです。動物の描写の仕方を理由に、中国の湖南省では『不思議の国のアリス』が禁止されています。

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当時の政府は次のように主張しています。「動物は人間の言葉を使うべきではない。人間と動物を同レベルに扱うことは非常に危険である」。仏教は中国の主要な宗教の1つです。その信条の1つが「動物を同等に扱う」ということである点を考えると、あまり納得のいく理由ではないと言わざるを得ません。

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禁止された映画

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2010年、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』が公開されました。中国の観客からの反応も好評で、大ヒットとなります。しかし、突如禁止となった『アバター2D』。3Dであれば映画自体を視聴することは可能ですが、正直2D映画としての方が入手しやすい映画です。そのため、政府の決定によって事実上一般人の『アバター』の視聴は不可能になったと言えます。

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政府によれば、決定は経済的な理由であるということでしたが、同時に中国の中央宣伝局では同作に関して過剰宣伝を行うことを禁止しました。そのため、一般人の間では政府がコンテンツを制限しようとしているだけであるという見方が強いようです。

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『緑のたまごとハム』はNG

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中国政府は人気児童作家のドクター・スース及び彼の著書である『緑のたまごとハム』を禁止しています。緑のたまごとハムが嫌いなキャラクターのサムが意見をハッキリを述べる同作は、1965年代の中国政府には「マルクス主義」すぎたようです。

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『緑のたまごとハム』はただのシンプルな児童書であるため、ばかげているようにしか思えません。しかし中国では、「初期のマルクス主義の描写」が見られるという理由で禁止されました。その後、ドクター・スースが亡くなった1991年に禁止令は撤廃されています。ちなみに、ドクター・スースが亡くなったというニュースは中国では一切報道されていません。

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検閲されて忘却の彼方へ

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中国国民もハリウッド映画を楽しみたいという願望はありますが、政府は年間34作の外国映画のみを許可しています。公開が許可された映画であっても検閲を逃れることはできず、ほとんどの場合は共産主義政府や中国政府が不快と感じた部分に表現を和らげる編集が加えられます。さて2005年、台湾出身のアン・リー監督が『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞監督賞を受賞し、中国は歓喜に包まれました。

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しかし映画の内容が原因で、中国国内で映画が公開されることはありませんでした。現在中国は国内のエンタメ充実させようとしており、有名企業のアリババ(中国版eBay)がエンタメ事業に着手し始めています。

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「次元転移装置」禁止

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厳しい中国の共産主義政府は、映画で映せるものに関してもかなり厳しく制限しています。中国で禁止されているかなり興味深い例の1つは「タイムトラベル」です。タイムトラベル映画は「軽薄」かつ歴史に対する冒とくであると中国政府は考えています。

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中国の共産党は新しい世代が学ぶ歴史を改ざんするために中国の特定の歴史を故意に破壊しているため、多くの評論家はこれらの主張を「偽善行為である」と批判しています。ちなみに、中国で「本物の」タイムトラベルが許可されているかどうかは不明です。

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中国版ベガス

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アメリカ同様、政府が運営している宝くじを例外にして中国のほとんどの場所ではギャンブルが禁止されています。これが原因で、マカオはカジノ天国に発展。実際はラスベガスより大規模ですが、多くの人はこの地を「ベガスもどき」と称しています。しかし、ギャンブルに関する法律が厳しいことに変わりはありません。1949年にギャンブルが違法化されたことを受けて、中国では地下ギャンブル運営が盛んにおこなわれるようになりました。

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中国映画で頻繁にギャンブルのシーンが描かれることもこれで納得がいきます。マカオは現在政府の反汚職活動の標的にされており、地域の経済に影響が出始めているようです。

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ゲーマーには厳しい

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Photo by Ethan Miller/ Esports Arena Las Vegas/ Getty Images
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ゲーマーの方には中国暮らしは向いていません。14年間、中国政府はXbox、Wii、PlayStationなどのすべてのゲーム機器を禁止していました。多くのゲームには暴力的なシーンが多すぎるということが、政府の禁止理由です。2015年に禁止は撤廃されていますが、特定のゲームは現在も「違法」扱いされています。

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禁止されているゲームは、『バトルフィールド 4』、『Hearts of Iron』など。さらにメディアを含めたすべてのゲームは、「国の結束の脅かし、国の機密の暴露、国の安全性の脅かし、国家主権の損害、社会秩序の混乱、他者の権利の侵害」などの中国憲法の原理を冒していないことが必須です。

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軍でネットは使えない

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中国は市民に厳しいことで有名ですが、兵士に対してはより厳しい措置をとっています。2010年以降、軍のメンバーのオンラインデートサイトの利用は禁止されています。中国共産党中央軍事委員会は次のようにルールを定めています。「公的なメディアを通じて結婚相手、仕事、友人を求めることを禁止する。また、近くのネットカフェを利用してオンラインになることも同じく禁止である」。

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オンラインデートの禁止にとどまらず、ネット利用一般を禁止している軍。「ネット上でウェブサイト、ホームページ、ブログ、メッセージフォーラムを開くことは許されていない」。政府は「軍事機密」の漏洩を防ぐためであると主張していますが、評論家の間では政府の検閲とコントロールであると考えられています。

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政府は花を恐れている?

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中国での禁止事項の中でも最も変わったものの1つと言えば、ジャスミンでしょう。チュニジアが現職の大統領を追放したジャスミン革命を起こしたのち、中国は国内で同じことが起こることを恐れたようです。

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2011年、中国は美しい匂いを放つこの植物を禁止すると発表しました。「ジャスミン」という単語はテキストメッセージで検閲にかけられます。政府は中国国民が花自体に鼓舞されることを懸念しているのでしょうか?

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スナップチャットもNG

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比較的新しいソーシャルメディアプラットフォームであるスナップチャットも、中国では禁止されています。この禁止に関しては、中国が似たようなプラットフォームの中国版を作ろうとしていることが理由だとされています。スナップチャットの代わりに中国国内で頻繁に利用されているソーシャルメディアはWeibo(ウェイボー)です。中国国民はいくつかのメッセージアプリやWeiboへのアクセスが許されていますが、すべて厳しく監視・検閲されています。

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六四天安門事件や国家主席のプーさん例えなど様々な題材における特定の検索用語をブロックしていることで有名な中国政府。ハーバード大学によって行われた研究は、4億以上のソーシャルメディアの投稿が国民の気を現実の問題から逸らす目的で中国政府によって捏造されているということを示しています。

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Pinterestですらダメ

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Photo by SAUL LOEB/AFP/GettyImages
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Pinterestは最も無害なソーシャルメディアの1つですよね。ユーザーがバーチャルボードに好きなものをピン止めするサイトです。ユーザーは、試してみたい食べ物のレシピから夢のウェディング装飾まで様々なボードを作成することができます。しかし、Pinterestも2017年の3月以降中国政府から禁止されています。

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これらのインターネットプラットフォームの禁止に対抗して、アリババはeBayに類似した独自のサイトを立ち上げました。淘宝網と呼ばれるサイトで、アレクサによれば世界で使用頻度の高いウェブサイトトップ10に挙げられています。

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思想警察

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Photo by Brooks Kraft LLC/Corbis via Getty Images
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中国政府は外国メディアに関して驚くほど厳しいスタンスをとっているため、Apple Booksやオンライン配信サービスなどが禁止されていることは驚きではありません。ディズニーのコンテンツを配信し始めて以降、Apple BooksとiTunesなども禁止されるようになりました。政府は新しいルールを敷いて、現在オンラインコンテンツを提供するすべての外国企業は政府からの承認を得なくてはいけなくなっています。

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これも、できる限り国民の外国コンテンツの視聴を制限するための中国の取り組みです。ちなみに1999年に『ムーラン』が公開するまで、ディスニー映画は中国で禁止されていました。

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転生には許可が必要

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Photo by Nitin Kanotra/Hindustan Times/ Getty Images
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ご紹介するリストの中で最も異様な禁止事項は、「転生」の禁止でないでしょうか。中国政府はチベット僧による「承認のない転生」を2007年に禁止しました。この法律は、国家宗教事務局によって定められています。ご存じの通り、チベットと中国の対立のためダライ・ラマ14世(チベット仏教のリーダー)は現在亡命先のインドで生活しています。

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この法律の制定は「ただのダライ・ラマ14世に対する嫌味である」という見方が大半を占めているようです。おそらくダライ・ラマの転生をコントロールしたいという思惑もあるのでしょう。この禁止に対してダライ・ラマは、「中国政府にはそのようなことを選ぶ権力はないし、そもそも自分(ダライ・ラマ)が転生しない可能性もある」と切り返しています。